急増傾向にある梅毒とは何かを正しく理解しよう!

母子感染する梅毒で赤ちゃんが死ぬ

梅毒はおもに性行為によりうつる感染症です。
梅毒トレポネーマという病原体が粘膜や皮膚の傷から入り込み感染します。
以前は不治の病といわれていましたが、現在は治療薬が発見され完治が可能になっています。
しかし、妊婦が梅毒に感染すると赤ちゃんに母子感染することがあります。
感染症の中でも梅毒は母子感染の率が高いことが知られています。

母子感染は胎盤を通して血液から感染する胎内感染、産道を通るときに感染する産道感染、母乳による母乳感染がありますが、梅毒の場合は胎盤からの感染です。

お腹の中で赤ちゃんが梅毒に母子感染した場合流産や早産、子宮内胎児発育遅延、胎児死亡の確率が高くなります。
最悪の場合、出産後に赤ちゃんが死亡してしまうこともあります。

梅毒の母子感染する確率はかなり高いので、無事出産しても赤ちゃんが先天性梅毒にかかっていることが多いです。
妊婦が何も治療を受けずに出産した場合、ほぼ100%の確率で赤ちゃんは先天性梅毒といわれています。

しかし今は妊娠初期の妊婦検診に梅毒の検査が含まれていますので、早期に発見し適切な治療を受けることができます。
妊娠13週までであれば胎児への感染率は低いので治療効果がでれば母子感染を防ぐことができます。

梅毒検査での注意点は、感染してから4週間程度経たないと抗体ができないため、それ以前に検査をしても陽性反応が出ません。
感染が疑われてから十分な期間をおいて検査をします。
また、妊娠中に感染が疑われるときは再検査をするようにしましょう。

梅毒の治療には抗生物質が投与されます。
胎児への影響が心配されるかと思いますが、妊婦への投薬に関しては安全面で十分考慮されているので、きちんと治療を受けることが大切です。

赤ちゃんが母子感染により先天性梅毒にかかってしまった場合、約40%が子宮内死亡または周産期に死亡するといわれています。
周産期死亡とは、妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡をあわせたものをいいます。

無事出生した赤ちゃんも、母子感染していた場合先天性梅毒にかかっており、将来的に何らかの症状を発症することになります。

ハッチンソン3徴候って何?晩発性先天性梅毒とは?

先天性梅毒は症状のあらわれる時期や内容はさまざまですが、大まかに乳幼児期に症状が出る「早期先天性梅毒」と「晩発性先天性梅毒」に分けられます。

先天性梅毒にかかった赤ちゃんは、半数以上は出生してすぐには症状はみられませんが、2歳くらいまでに水疱性発疹や斑状発疹などの皮膚症状や全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、発育不全、骨の異常などの症状があらわれます。
これを早期先天性梅毒といいます。

また、乳幼児期に発症しない場合でも、学童期以降に症状がでることもあります。
この場合、晩発性先天性梅毒といいます。
晩発性先天梅毒の症状としてはハッチンソン3徴候が有名です。

晩発性先天性梅毒は生後比較的早い3ヶ月くらいまでに症状があらわれる早期先天性梅毒に対して、5歳以降の学童期に症状があらわれます。
その症状は、ハッチンソン歯や実質性角膜炎や内耳性難聴が特徴とされます。
ハッチンソン歯とは、歯のエナメル質の形成不全による上顎中切歯に半月状の欠損ができる状態です。
これら3つの症状をハッチンソン3徴候といいます。

その他ゴム腫、口腔粘膜疹、クラットン関節・剣状脛、神経梅毒と呼ばれる神経症状などがあらわれることもあります。

このように、母子感染による先天性梅毒の赤ちゃんは生まれながらにして疾患をもつことになります。
母子健康法では梅毒の母子感染を防ぐために妊娠初期での妊婦検診で梅毒検査をすることを義務付けています。

近年、梅毒の罹患者が増加傾向です。
性感染症は恥ずかしいからと検査を受けずにいると万が一感染していた場合大切な赤ちゃんにうつしてしまう恐れがあります。
もし梅毒検査で陽性と出てしまっても、適切な治療をすれば母子感染を防ぐことが可能です。